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山 行 記 録

【平成20年4月28日/祓川〜七高山〜百宅コース〜大清水〜百宅



早春の大清水山荘



【メンバー】西川山岳会7名(柴田、菊池、荒谷、工藤、蒲生)+ゲスト(神田)
【山行形態】テレマークスキーによる山行、春山装備、山行は日帰り
【山域】鳥海山
【山名と標高】鳥海山(七高山2,230m)
【地形図】(2.5万)鳥海山、(20万)新庄
【天候】曇り時々晴れ、強風
【参考コースタイム】
祓川駐車場9:30〜唐獅子避難小屋10:45-11:10〜七高山直下2100m地点13:40〜唐獅子避難小屋14:00-50〜大清水山荘15:30-45〜手代橋(駐車地点)17:45=(車)=テン場着18:30
  
【概要】
 低気圧の通過により北からの強い寒気が入ったために、降り続いていた雨は夜半から雪に変わった。テントには雪がかなり降り積もり、テン場としていた駐車場も一夜にして雪景色一色となったのだから驚いた。春を通り越して夏が訪れたような好天が続いていただけに、山の天候はまだまだわからないものだと思い知らされる光景だった。今日の行程は昨年途中で断念していた、七高山から百宅コースを滑ろうと云うものだ。百宅コースの往復も主張したのだが、登り返しが嫌だというのであっさりと却下され、冬タイヤの柴田氏と菊池氏が下山口の百宅口まで車を置いてくることになった。そして、2時間後に戻った二人からは、手代橋までは幸いに除雪がされていたということを聞いて一同喜んだ。これで林道歩きのうち、3時間ほど短縮となったのだから行程にだいぶ余裕ができたということである。

 低気圧が通過したとはいえ、まるで台風が通過した後のような強風が祓川一帯に吹き荒れていた。次第に晴れるだろうと、天候の快復を期待しながら登り始める。順調な歩き出しではあったが、祓川ヒュッテを過ぎた辺りで、心配していた柴田氏のビンディングが再び折れてしまうアクシデントがまたまた発生する。先日の北月山で折れた部分は、専門家に溶接を依頼したらしかったが、うまく接合されなかったようである。当の柴田氏は人の心配などどこ吹く風で、そこからはロープで引っ張りながら登ることになった。

 強風は相変わらずで、真冬並みの体感温度だった。そのために目出帽と厚手のグローブ、そして防寒着まで着込み、厳冬期と同様の装備に身を固めた。さらにはアイスバーンの雪面をみて、メンバーは早めにクトーを装着した。今日はピーカンのはずだったのだが、天候だけは我々の期待通りに動いてくれそうもなかった。唐獅子避難小屋で小休止をとった後、柴田氏と工藤氏の直登班、それに私達4人組が別行動をとってゆく。アイゼンがない私は東よりのコースをとるしかなかった。

 この頃から風は激しさを増した。風速は20数メートルもあろうかというほど厳しい風が舞う。それはほとんどリズムを伴っているようでもあり、襲ってくるたびに耐風姿勢をとってやり過ごさなければならなかった。すでに周囲はホワイトアウトとなってしまい、GPS頼みの行動が続く。しかしこの広い鳥海山である。別行動をとっていた柴田氏達と出会うのは容易ではなかった。強風では頼みの無線さえよく聞こえない。再び出会えたのは2000m地点のいつもの休憩地点だったが、この頃になるとほとんど人が見当たらなくなっていた。途中で出会った人達もみんな山頂は断念しながら降りていったようだ。

 強風と視界の悪さは一向に快復する様子もないので山頂はあきらめてトラバース気味に東斜面へと移動した。そしてドロップポイントまできたところで滑降開始となるのだが、立っているのがやっとの状況では、シールをはがすのでさえも容易ではなかった。スキーもシールもたちまちのうちに飛ばされそうなほどの強風であった。

 雪面は幾分堅かったものの、鳥海山の東斜面は快適そのものだった。広い雪面は自由気ままに滑って行けるから、百宅コースは山スキーの天国のようなところだ。一気に唐獅子避難小屋へと降りて行き、小屋ではしばしの休憩となる。唐獅子避難小屋も入り口付近は大量の積雪で埋まり、中に入るまではしばらく雪の掘り出しを行わなければならなかった。この様子では我々が今年初めての小屋の利用者のようであった。強風にあおられ続けたおかげで体が冷え切っていた。ストーブに火が入ると死んでいた細胞が徐々に生き返ってくるようだった。

 唐獅子避難小屋からは雪質も安定した。アイスバーンはところどころにあったものの、一方では快適な新雪も混じっている。この時期の百宅コースは滑降場所を選ばないのが唯一のご褒美だろうか。どこを見渡してもヤブはなく、さながら広大なゲレンデのようでもある。しかし壊れたビンデングをものともせずにトップをゆく柴田氏はたいしたものだ。我々はその柴田氏について行くのでさえもやっとなのである。そんなことを楽しんでいると前方に大清水山荘が近づいていた。山荘付近まで下る頃には気温も上がり始め、厳冬期の装備もすでに無用の長物だった。

 大清水山荘はまだまだ深い積雪に埋まっていた。ブナの芽吹きにもまだまだ早いようである。百宅口から今日登ってきた人がいるらしく一人分のトレースが残っているだけで、静かな大清水園地だった。小屋脇の湧き水で乾いた喉を潤せば再びスキー滑走となる。しばらく林道を滑って行けるのは実に快適だった。林道は道形もわからなかったがトレースがあるので何の問題もなく下って行ける。周りはブナの新緑が青空に映えて、まるで夢の中のシーンを見ているようでもあった。山頂付近は厳冬期の様相だったが、ここまで下ればすでに春まっさかりだ。

 林道は手代橋まで緩やかな勾配があるのだが、あまりに緩やか過ぎて途中からはほとんど歩き同様となる。それでもスキーを担ぐよりは遥かに楽なのは確かだった。1時間余り歩いたところからはついに雪が途切れてしまい、そこからはスキーを担いだ。林道から振り返るとときどき白い鳥海山が山の間から見えた。しかし相変わらず山頂付近は厚い雲に覆われていた。日没が迫っていた。ようやく前方に手代橋が見えて来たときには、すでに辺りが暮色に染まりはじめていた。大清水山荘からは実に2時間もかかっていた。今回はたまたまこの橋まで車が入れたからよかったのだが、例年だとここから百宅集落まではさらに3時間も歩かなければならなかったかもしれないのだ。そう考えると思わず今回の幸運に感謝しなければならなかったようである。予定では早めに下山して温泉に入る計画もあったのだが、駐車地点から猿倉の駐車場に戻るだけでもまだ1時間近くかかるのだ。私達は一路猿倉のテン場へと向かった。


祓川ヒュッテ上部付近


強風で立っていられない(七高山直下)


東斜面を滑降する


唐獅子避難小屋


強風の唐獅子


快適な滑降となる


大清水の清水を飲む


雪に埋もれる大清水園地


大清水山荘からの林道滑走


スキーは良く走る


コースマップ