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山 行 記 録

【平成19年10月28日(日)/朝日連峰 祝瓶山荘〜祝瓶山】



木地山ダムから仰ぐ祝瓶山と大玉山



【メンバー】2名(高井、蒲生)※赤鼻尾根から宇津木氏と3名で下る
【山行形態】秋山装備、日帰り
【山域】朝日連峰
【山名と標高】祝瓶山 1417m
【地形図】(2.5万)祝瓶山、(20万)村上
【天候】晴れ時々曇り
【参考タイム】
祝瓶山荘7:00〜赤鼻尾根分岐7:45〜祝瓶山山頂9:45-10:10〜赤鼻尾根11:10-12:10〜祝瓶山荘14:10
  
【概要】
 久しぶりに祝瓶山荘から登る。毎年のように登り、今年も2回目の祝瓶山だが、この野川口からは調べてみたら6年ぶりと知り、自分で驚いてしまった。前日まで降り続いた雨は未明であがり、今日は快晴の予報がでていた。県道木地山九野本線は長井ダム建設のおかげでトンネルや付替道路などが整備され、秘境の趣もあった野川渓谷の景観が、今ではすっかり失われてしまったのは寂しい。まあおかげで危険箇所が少なくなったのだから痛し痒しではある。

 祝瓶山荘では従来からある奥山山荘のほかに、長井ダムによる風力発電の観測所が新しく建てられていて、ここも以前と様変わりといった雰囲気だった。駐車場では久しぶりに高畠町の高井氏とお会いすることができ、お互いに久闊を叙しながら今日は一緒の行動をすることになった。

 紅葉前線はかなり下がってきていて、桑住平付近も歩いていて楽しいばかり。ブナ林には朝の光が降り注ぎ、それはそれは目映いほどである。それに何よりも懐かしさでいっぱいの登山道は胸が踊るようだ。途中で見つけたキノコを少し拾いながらのんびりと歩いてゆくと、まもなくカクナラ沢とヌルミ沢の渡渉点につく。そして対岸からは本格的な登りとなる。この尾根道は急勾配が続くかわりに、ぐんぐんと高度が上がって行くところが大きな魅力である。まさに「天空を駆け登る」といった表現がぴったりの登路だ。右手を見れば朝日に輝く、燃えるような山肌が鮮やかである。しかし、山頂付近だけはまだ雲に隠れたままであった。

 左手遠方に木地山ダムが見えるようになると見晴らしは抜群となる。ヤセ尾根のために慎重に歩く必要があるところだが、遮るものもなくなり、爽やかな秋風が吹き渡る。後方からは中沢峰や御影森山などが競り上り、三体連山の稜線も明瞭になってくるところだ。祝瓶山荘がはるか眼下となると山頂も近くなる。しかし、山頂付近の雲は相変わらず居座っており、少し時間を調整しながら登って行く。私は途中で少しシャリバテ気味となり軽く行動食をほおばった。今頃になって朝飯を食べていないことに気付く始末だった。潅木類が全くなくなってしまうと山頂は目前だ。草付きの岩場を横に少しトラバース気味に進み、急な岩稜帯を直登すれば祝瓶山到着となる。

 まだ時間が早いためか、二人だけの山頂だった。7月に登った前回は針生平からの山頂だったが、登山口が違うと全く違う山に登った気分である。6年ぶりだけに初めての山頂のような不思議な感激を味わった。心配していた空模様も、私達が山頂に着くと同時にガスがすっかり晴れ渡り、大朝日岳などの展望が一望となる。しかし、気温はさすがに低く、防寒着なしではとても山頂で休む気分にはなれない。9月までの猛暑が今では信じられないようである。飯豊連峰だけは雲に隠れたままだったが、他の山並みをほとんど見渡すことができたのは幸運であった。昼食にはまだ早いのでしばらくこの展望を楽しみながらお互い軽食を食べて小休止とした。

 帰路はアカハナ尾根コースをとる。下り始めると小国口から登ってくる大勢の登山者が眼下に見えた。今日は好天の予報がでているのでこれからも続々と紅葉を楽しみに登ってくるようである。鈴振尾根への分岐点からはアカハナ尾根コースへと右に折れてゆく。ここからは大朝日岳への縦走路であり、眺める風景が皆懐かしかった。振り返ると再び山頂は雲に隠れてしまい見えなくなっていた。私達が滞在していた時の晴れ間は本当に偶然の巡り合わせのようであった。

 紅葉のトンネルを下って行くと最低鞍部となり、付近にはブナ林が目立つようになる。ブナの葉はほとんど落葉してしまい、もう冬を待つだけの寂しさが漂っているが、それだけに見晴らしは格段に良い。鞍部からはひと登りでアカハナ尾根の下降点につく。ここでは岳人長井の宇津木氏と出会った。宇津木氏は朝日連峰の写真集も出している人で、出会うのは先日の葉山以来である。今日は一人アカハナ尾根を登って祝瓶山の撮影山行のようだった。前大玉山まで登ってきてちょうど下るところで出会ったようである。ここで3人が合流することになり、私と宇津木氏が付近を散策する間に高井氏が味噌汁を作ってくれた。ここも祝瓶山の眺望が良いところなのだが、ほとんどガスにつつまれていた。

 1時間ほどの休憩を済ませて下山にとりかかる。ここからアカハナ沢とカクナラ沢の合流点までは一気に下るところで、途中にはトラローブや鎖なども設置されている急斜面がしばらく続く。急斜面が終われば、あたり一帯は森閑としたブナ林になる。標高はほぼ700mぐらいで、ちょうど紅葉が最盛期を迎えていた。まさしく絢爛豪華ともいえるような光景が連続するところだ。素晴らしい秋景色はまるで命の洗濯をしているようでもある。急いで下るのがもったいないので、何度も立ち止まっては、周囲の紅葉を愛でながら下った。

 アカハナ沢とカクナラ沢の合流点まで下れば桑住平まではまもなくだ。清流が流れる野川渓谷もブナ林とはひと味違った紅葉を味わえるのでしばし、撮影のための小休止となった。流れる水もまるで伏流水のように冷たくておいしい。宇津木氏はここでしばらくキノコの採取にあちこちを探し回っていた。

 桑住平までも山の恵みを探しながらのんびりと歩いて行く。下るほどに気温は高くなり、見上げると爽やかな秋空が広がっていた。駐車場に戻って祝瓶山を振り返ると、山頂を覆っていた雲はすっかり晴れ上がっている。これならば最高のビューポイントである、木地山ダムからの撮影ができそうだった。今日は山の知人に偶然と出会うことができて、今年一番といえるような紅葉を目一杯楽しんだ一日であった。


登りから仰ぐ祝瓶山


山頂到着


大朝日岳(山頂から)


アカハナ沢を横断


分岐点


木地山山荘付近から