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山 行 記 録
【平成17年5月4日(水)/湯ノ台から鳥海山】

一時はこんな晴れ間もあったのだが・・・
行者岳山頂が目前
【メンバー】単独
【山行形態】テレマークスキーによる山行、春山装備、日帰り
【山域】出羽山地
【山名と標高】鳥海山(行者岳2159m)
【天候】曇り
【温泉】鳥海山荘500円
【行程と参考コースタイム】
大台野駐車場(路上)7:30〜マタフリ沢源頭10:25〜行者岳12:20-12:40〜駐車場(路上)14:20
【概要】
鳥海山巡りの二日目は八幡町の湯ノ台口からだ。鳥海山はスキー場がないので、山頂までの高度をすべて自分の足で稼がなければならないが、それだけにどのコースも充実感が味わえるのがうれしい。大台野高原に入ると最初のカーブが始まるあたりから車が駐車中で、その少し先から積雪のため進めなくなっていた。路肩に駐車中の車は県外ナンバーも多く、数えてみると優に30台以上はあり、全国各地からきているようであった。近くの雪原にはテントも張られており、キャンプをしながら鳥海山を楽しんでいる人達もいる。毎年のことながら鳥海山の人気には驚かされるばかりだ。駐車地点の標高は約660m。ここが今日の歩き出しとなると、山頂までは1500mの標高を登らなければならないのがちょっとつらいところか。今日は昨日の祓川のように短時間の登りとはゆかないようであった。
今日の天候は予報に反して曇り空であった。少しだけ見えていた山頂も今は薄黒い雲に覆われて全く見えなくなっていた。はじめはスキーを担ぎ、道路をショートカットしながら登ってゆく。雪がつながったのを確認してシール登高に切り替えた。まもなく宮様コースの切り開きの斜面になると、この急斜面ではけっこう汗を搾り取られてしまい、途中で半袖のTシャツ一枚となった。しかし、樹林帯が切れると今度は風の冷たさに耐えられなり、ウールのシャツだけでも足りず、結局アウタージャケットまで羽織ることになった。天候は目まぐるしく変化しているようであった。
昨日の祓川の様子から、この湯ノ台口も残雪の多さを予想していたのだが、意外と山肌があらわになっている部分も多く、ブッシュが邪魔をしていて滝の小屋へも大きく迂回しなければならないようであった。右手の広い斜面を登って行くと、滝の小屋が眼下に見えてくる。小屋の周辺も雪は意外と少なかった。ここまでくる間に7、8人を追い越していたが、前方にも10人ほどのスキーヤーが登っているだけで、車の台数の割合には人が少ないようであった。
斜面をトラバースしてゆくとマタフリ沢源頭部に着く。この付近の標高は約1500m。ここで斜度がいったん緩やかになるが、この先は外輪山まで急坂が連続するところだ。この頃には視界がほとんどなくなってしまい、腰を下ろしてしばらく天候の回復を待った。時々霧が晴れると急斜面に張り付いてる人が何人か見えたりしたが、すぐにまた濃霧に包まれてしまう。いつまで待ってもすっきりと晴れる兆しはなく、少し青空が戻ったのを見計らって再び歩き出した。例年だと伏拝岳への直登コースを登って行くのだが、斜面の登り易さや雪渓のつながり具合を見て、今回は右手の尾根へとめざした。先ほどまで一緒に休んでいた人達も後ろに続いて登ってきていた。途中、ヤブを少し漕いでなおも右の尾根に出ると、ここも広々とした大斜面となっていて、このまま直登すれば行者岳にでるようであった。
この頃にはさすがに急坂の疲れもあって、喘ぎ越えが漏れ始めてくる。急斜面の登りがしばらく続いたがザラメ雪にはしっかりとシールが食いつき、それほど苦労することもなく直登してゆけるのがせめてもの救いであった。数歩登っては一休みしながら少しずつ高度を上げて行く。行者岳の山頂間近になると、急に上空の雲が割れて、真っ青な空が広がった。この晴れ間を伺っていたのか、何人かのスキーヤーが山頂から下り始め、目の前を次々と滑走していった。山頂が近づくにつれて風の激しさが増していた。
行者岳到着は駐車場から約5時間。私は昨日の疲れもあるのか、もうヘロヘロの状態で到着した。山頂には10人近くいたが、あいにくの強風と濃霧のため、みんな身をかがめながら天候の回復を待っている。体感温度はかなり低く、休憩できる状態にはほど遠い天候であった。私はツェルトを出してしばらくガスが晴れるのを待つことにした。乾いた喉にコーラは美味しかったが、気温は少しも上がらず、次第に体が震え始めてくる。ツェルトは強風に煽られて、終始バタバタとした音が止まなかった。ツェルトの中から時々様子を伺うものの、濃霧と強風は収まる気配はなかった。
20分ほどでツェルトを撤収する。晴れるどころか視界はますます悪くなるばかりであった。GPSを頼りに下ってゆこうとすると、登りのトラックがいつのまにか消えていて慌てた。それに動きがどうもおかしい。不具合というものは最悪の状況で発生するものだという、まるで「マーフィの法則」そのもののようだが、いくら試してみてもどうにも不調で、簡単に直りそうではなかった。しょうがないので時々立ち止まり、現在地を確認しながら滑走するしかなかった。マタフリ沢源頭まで下るとどうにか視界が効くようになり、ようやくホッと胸をなでおろした。滝の小屋が前方に見えていたが、見渡しても人の姿が見えない。山頂直下まで私の後ろをついてきていた人達や、そのほかにも大勢登っていた人達はいったいどうしたのだろうか。悪天候の状況を見て途中で断念したものなのか、彼らの姿はどこにも見あたらなかった。