山 行 記 録

【平成15年4月27日(日)/御池〜燧ヶ岳】



燧ヶ岳直下の急坂を登る
ダケカンバには見事な霧氷の花が咲く



【メンバー】単独
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】尾瀬周辺
【山名と標高】燧ヶ岳2,346m
【天候】曇り後晴れ
【行程と参考コースタイム】
自宅3:00=御池7:00
御池7:30〜広沢田代8:20〜熊沢田代9:20〜燧ヶ岳10:40-11:15〜御池12:40

【概要】
予定では檜枝岐村の七入から歩く予定をしていたところ、昨日から冬の通行止めが解除されており、すでに御池までは通行可能となっていた。今日はロングコースを覚悟していただけにこれはラッキーであった。七入からだとコースの長さに加えて1130mも登らなければならないのだが、御池からの標高差は約830mと春山ではお気軽なワンディツアーとなる。

下界は晴れていたのに七入を過ぎるとガスに包まれてしまい、御池駐車場は夕暮れのような薄暗さが漂っていた。駐車場にはすでに30数台もあるだろうか。早めに到着していた人達はそれぞれ着替えやザックのパッキングをしながらも不穏な空模様を伺っている様子であった。今回も天候に見放されたのかとがっかりしたが、予報では全国的に高気圧に覆われるというので、これから晴れるのを期待しながら出発することにした。

駐車場から早速シールを貼って歩き出す。早くも登っている人達は大勢いるようで、スキーのトレースや坪足の踏跡が多数あり、今日は地図もコンパスも必要がないほどであった。ほぼ南西に向かって樹林帯の急斜面を登ると、やがて視界が開けて広沢田代の湿原にでた。ここは木道が続く湿地帯なのだが、今はもちろん広々とした雪原である。しかし視界はまだほとんどなく、休憩をする気分にもなれない。勾配のない平坦な雪原を努めてゆっくりと歩くようにした。再び急斜面を登り、いったんピークから少し下ると熊沢田代の雪原にでた。ここからはあと300mも登れば燧ヶ岳の山頂に着いてしまう。視界のない状態のまま山頂についてもしょうがないので、ザックを下ろしてしばらく時間をつぶすことにした。太陽はときどき顔を覗かせるのだがまだすっきりとは晴れることはなかった。

行動食を食べながら20分ほど待っていると再び深いガスに覆われてしまった。そうしているうちに早めに登った山スキーの人達が何人かガスの中を滑りおりてくる。私はこの時点で今日の天候を半分あきらめていた。ところがである。再びガスのたちこめる樹林帯に入ってまもなくすると、にわかに周囲の風景が明るくなり、目の前に漂っていた霧が晴れだしたのだ。夕暮れのような曇り空が一瞬にしてまぶしいほどの真っ青な空に変わったのである。信じられないほどの天候の急変だった。私にとっては約1カ月振りの晴天であり、思わず小踊りしたくなるほどの喜びがこみ上げてきた。

樹林帯を抜けると正面にはもう燧ヶ岳のピークが聳えていた。この付近はほとんど無木立の大斜面となっていて、下りの滑りが大いに楽しみな斜面である。もう天候が崩れる心配はなくなっていた。振り返れば熊沢田代の背後には会津駒ヶ岳が聳えており、晴れたときの展望の楽しさというのを久しぶりに味わいながら急斜面を登った。燧ヶ岳のピークの手前はテラスのようになっていて大勢の登山者が休憩をしている。ここで予想もしていなかったのだが、「自然を滑る会」の今野夫妻と出会った。今野夫妻には今年の小野岳や鍋倉山、そして妙高でもさんざんお世話になっており、この奇遇ともいえる再会を喜んだのはいうまでもない。

ザックをおいてテラスから祠のある燧ヶ岳山頂までは坪足で登る。山頂では大勢の人達が晴れ渡った展望を楽しんでいるところだった。尾瀬沼も尾瀬ヶ原もまだ多くの雪に覆われて真っ白い大雪原となっている。久しぶりの好天に恵まれて、会津駒ヶ岳はもちろん、至仏山や日光連山、越後の山々と山頂からはまさしく360度の展望が広がっていた。

今野さん達とは一緒に昼食を楽しんだ後、山頂からはみんなで下ることになった。喘ぎながら登った山頂直下の大斜面もスキーで下ると一瞬である。樹林帯を抜け、熊沢田代から登り返しの小ピークで再び小休止した。西の方を見れば平ヶ岳や越後三山、未丈ガ岳などの会越の山々が連なり、稜線は春の日差しに輝いている。いつまでも見ていて飽きることのない光景が展開していた。ここで私はのんびりと休憩を楽しむことにして今野夫妻と別れた。ここから急斜面を滑ればすぐに広沢田代で、そこからはあっというまに御池に着いてしまうのだ。しばらくするとまわりに何人かいたグループも立ち去ってしまい、小鳥のさえずりが聞こえるだけの静かな春山が戻った。

春の柔らかいザラメ雪は下手なテレマークターンでも曲がってくれるから楽しい。しかし雪面の汚れはどうしようもなく、また下るほどに雪は腐ってゆき、スキーはときどきブレーキがかかって閉口した。のんびりと休み休み下ったものの御池には1時前に戻ってしまった。標高差800mほどの下りは全くあっけなく終わってしまった感じだが、これが山スキーの醍醐味というものなのかも知れなかった。

駐車場には暑いほどの日差しが燦々と降り注いでおり、芽吹き間近いブナの木々や爽やかな風はすでに初夏を感じさせた。もうまもなく5月なのだ。いつまでテレマークスキーが出来るのだろうかと、つい先日までの厳冬期の寒さが無性に懐かしくなってしまった。私は車からキャンプ用品を取り出すと、アスファルトに銀マットを敷き、遅い昼食を作ったりしながらのんびりとした午後のひとときを過ごした。



燧ヶ岳直下から望む会津駒ヶ岳と熊沢田代の雪原



まだ大雪原となっている尾瀬沼(山頂から)



至仏山と柴安グラをバックに(山頂から)



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