山 行 記 録

【平成14年11月9日(土)/阿武隈山地 二ツ箭山】



女体山から男体山を望む


【メンバー】2名(妻)
【山行形態】冬山装備、日帰り
【山域】阿武隈山地
【山名と標高】二ツ箭山(ふたつやさん)709m
【天候】曇り後晴れ
【行程と参考コースタイム】
自宅6:40=R13〜福島飯坂IC(東北道)=いわき三和IC(常磐道)=R399=根本登山口10:00
登山口10:20〜御神体滝10:40〜〆張場11:10〜女体山12:15着/12:45発〜二ツ箭山13:00〜月山13:20〜〆張場13:50〜御神体滝14:20〜登山口14:40

【概要】
二ツ箭山はその山頂部に男体山、女体山の二つの尖鋭な岩峰を持ち、ロッククライミングのゲレンデにもなっているという山である。その特徴ある岩峰は太平洋からもよく目立ち、沿岸の漁民は帰港の目印にしていたともいわれているほどで、おだやかな山並みが多い阿武隈山地の中では特異な山として知られている。今日の東北地方は強い冬型の気圧配置のために平地でも積雪の予報が出ていることから、はるばると太平洋側まで足を延ばして以前から気にかかっていたこの二ツ箭山を登ることにした。

いわき三和ICを降り、狭い山道を通り抜けて国道399号線に合流すると、そこから根本集落までは5kmほどであった。登山口には8台ほどのマイカーがあり意外な多さに驚いた。またりっばな案内板と簡易トイレ、登山ポストなどもある。ちょうど私達の前に出発しようとしている地元のご夫婦は、「これからの季節、この山は結構混みますよ」と話していた。この地方は雪がないとはいえ、びっくりするほど冷え込みが厳しい。冬用の下着を着用していたが、それでも寒く歩き始めは防寒着が必要なほどだった。

有刺鉄線で囲まれた「出羽三山神社奉吝教団修行堂」を過ぎ、林道をしばらく歩くと御滝沢に出る。まもなく滝の前にしめ縄と祠のあるところに出た。ここは不動明王が祀られているという御神体滝らしかった。左手の岩場は鎖場となっており慎重に越して行く。2ヶ所の鎖場を過ぎ、なおも沢沿いの道をたどると〆張場と呼ばれる分岐点に着いた。ここは御滝沢を直進する沢コースと右手の岩場の急坂を登る月山コース、左手から稜線をめざす尾根コースと十字路になっているところだ。私達は岩場の鎖場を下りに利用するのを避けるために左側の尾根コースから登ることにした。

急坂をしばらく登ると稜線が近づくにつれて薄暗かった登山道も徐々に明るくなった。やがて前方に岩山が近づくと一般コースと岩場コースを分ける看板が現れた。試しに岩場コースを登ってみるとそこには鎖などが別になく、通過するにはロッククライミングの技術が必要である。私達は引き返して一般コースの巻道をたどった。まもなくすると男体山直下の鎖場についた。見上げるとほとんど垂直の岩場で、太い鎖とロープが下がっている。ガイドブックでは長さが30mの鎖場とあり、岩の上部は見えなかった。カミさんはしばらく後込みをしていたがここから巻道はなく、進むには登るしかないのだと観念すると意を決して登り始めた。ここには手がかりや足場はなんとかあるものの、やはり鎖がないと結構きつい岩場で、下りに使用しなくて心底よかったと思った。慎重に一歩一歩登る。登りきったところが女体山と男体山の鞍部になっていて、女体山にも鎖とロープの下がる直登コースがあったが、ここは巻道を通って山頂に出た。ここまでほとんど人に出会っていない。女体山の山頂に着いてみると大勢の登山者が腰を下ろして昼食中であった。

女体山の頂上からは男体山のするどい岩峰が目前である。ガイドブックには男体山と女体山の山頂間に〆縄が張られていると書かれてあったが今は無くなっていた。いつのまにか薄雲が消えてすっかり晴れ渡り、青空が広がりだした山頂からの展望は抜群だった。いわき市の市街地や阿武隈山地の山々が見渡す限り広がっている。そして紅葉した潅木と岩場のコントラストが鮮やかだった。女体山の山頂は休憩できるほどの広さはあったが、風が強いので岩場の陰で昼食にした。ラーメンを作っていると雪がちらほらと舞い始めた。日本海側の雪がこの太平洋近くの山々まで流されてきたらしく、ラジオによると県境の山岳部では相当吹雪いている様子だった。

上空は快晴でも山頂ではほとんど氷点下を思わせるような冷たい風が吹いていた。のんびりと休憩を楽しむような天候ではなく30分ほどで山頂を後にした。岩場を慎重に下るとほどなく三叉路にでた。左は二ツ箭山の山頂への道で、立ち寄ってみるとそこには三角点はあるものの樹林に囲まれていて展望はない。地形図がないのでよくわからなかったが、「猫鳴山まで90分、屹兎屋山まで150分」の標識があり、意外にもここから先へ縦走路が続いているようであった。

二ツ箭山からは急な岩場の上り下りは影をひそめ、ようやく安心して歩ける登山道になった。月山からは御滝沢を挟んで対岸に女体山と男体山のピークが屹立しているのが見えた。この縦走コースはちょうど馬蹄型に周回する形で〆張場まで戻るようになっている。月山を過ぎると急坂の尾根道を下るようになった。岩場の周りの潅木は今を盛りと真っ赤に色付いており、空の青さと紅葉の鮮やかさに途中で思わず立ち止まったりした。山形の紅葉は本番を前にしてすっかり雪に覆われてしまったが、このあたりでは今が紅葉のピークを迎えているところだった。

急坂を下りきるとやがて〆張場に戻った。ここからは往路に歩いてきた沢沿いの道を登山口に戻るだけである。この二ツ箭山は標高差はたいしたことはないものの、沢歩き、尾根歩き、岩登りと、いろんな山登りが楽しめる山であった、そして思いがけなく盛りの頃の秋に逆戻りしたような好天の中で、しばし山形の雪景色を忘れていた一日であった。




御神体滝の鎖場を登る



男体山直下の垂直の岩場
約30mの長い鎖場だ



鎖場を登る



月山からの下り