
【平成14年7月20日(土)/飯豊連峰 石転ビ沢〜梶川尾根】
石転ビ沢上部(北股沢ノ出合)
湯沢のゲート前では小国警察署員が登山指導にあたっていた。私は登山計画書を出し早速温身平に入っていった。轟々と響く梅花皮沢の沢音を聞きながらいつもの登山道を歩いていると、雲間からはときどき真夏の陽射しが覗いた。気温もどんどん上昇しており背中からはたちまち大量の汗が流れる。暑い陽射しは容赦なく降り注ぎ体力が奪われるようだった。
梶川ノ出合のスノーブリッジはすでに崩壊が進んでいて、黄旗により迂回路への誘導がなされていた。梶川の上流部で石伝いに渡渉して再び雪渓にのぼる。この先、石転ビノ出合までは至る所で雪渓に亀裂が入っていてどこも危険な状態になっている。今の時期にこのようなクレパスを見るのはめずらしい気がした。私は無理な場合は引き返すつもりで右岸寄りの雪渓を進み、亀裂の狭い部分を飛び跳ねて渡ったが、今後は左岸側の夏道を通った方がよいようである。
日差しは相変わらずだったが、ときどき雪渓を渡ってくる風が涼しく疲れた体を癒してくれた。石転ビノ出合の大岩でアイゼンをセットし、広大な石転ビ沢を登り始めると雪渓は徐々に傾斜を増した。後ろを振り返れば多くの登山者達が登ってくるのが見えた。北股沢ノ出合から先では雪渓もほとんど崩壊気味で、ここも黄旗で夏道への誘導がされている。私はここでアイゼンをはずして夏道に上がった。例年ここは45度にもなる急斜面の雪渓が残るのだが、夏道に上がってしまえば滑落の危険はまずないので今回は一安心である。その後ミヤマキンポウゲの咲き乱れる中ノ島の急斜面を登り詰めて梅花皮小屋に到着した。天狗平を出発してから今日は4時間30分以上かかった。重荷を背負って登ったときとほぼ同じ時間がかかっており今日の体調はいまひとつだった。稜線では薄ら寒いような風が吹いていて下界の暑さとは無縁である。付近にはまだほとんど登山者が見あたらない。小屋では杁差岳から縦走してきたという二人連れが玄関に腰をおろして昼食中で、私も少し早めの昼食をとりながら疲れた体を休めた。
北股岳は濃いガスに包まれて視界がなく、山頂には立ち止まらずに通過した。門内岳方面に少し下ると濃霧から抜け出し、なおも下ると前方には一面黄色に染まったお花畑が見えた。花は今がちょうど盛りのニッコウキスゲで、あたり一帯に広がる群落には思わず目を見張った。このお花畑を眺めることができただけでも今日は満足できそうなほどの光景である。他にはヨツバシオガマ、コバイケイソウ、ハクサンフウロなども多く目に付いた。門内岳周辺ではニッコウキスゲに混じってヒメサユリが咲いていたがもう盛りは過ぎている。色がくすみ萎れかかったヒメサユリは痛々しい感じがした。
門内小屋を過ぎると再びガスが湧いてきて周囲の展望がなくなり、扇ノ地紙はそのまま通過した。展望はなかったものの梶川尾根の道の両側には色とりどりの草花が咲いていて楽しませてくれた。ニッコウキスゲの他にはイワカガミ、ミヤマリンドウ、アオノツガザクラなども咲いている。またマツムシソウやキンコウカはいかにも夏山を感じさせた。梶川峰まで下るとようやくガスから抜け出して視界が戻った。同時に暑い陽射しも照りつけてきたので、気分的には痛しかゆしといったところである。午後の日はまだまだ高く、重荷を背負った登山者達が三々五々登ってきた。
五郎清水近くを下っていると登山道のところどころで修復されている箇所があるのに気づいた。切り倒された灌木等はほとんど生木の状態で、まだ整備されたばかりだということが伺えた。少し前に扇ノ地紙付近で10数人の登山者にすれ違ったが、どうやらそれは登山道を整備中の小国山岳会の人達かもしれなかった。湯沢峰と滝見場との鞍部のぬかるみの付近も通過しやすくなっており、ただでさえ歩くのがつらいこの蒸し暑い中をこの登山道整備に携わる人たちにはただ頭が下がるばかりである。
五郎清水を下る頃から急に膝が少し痛みだし、ここからはダマシダマシの下りが続いた。滝見場では今日最後の写真を撮る。潅木がかなり倒されており、見晴らしが以前より良くなっている。以前ここから梅花皮大滝のTV放映がされたことがあったが、その時にでも刈り払われたのだろうか。痛みだした足はその後も引くことはなかった。頭痛もひどくなっているせいか、つまらない木の根っこにつまずいたりした。気がつくと足の運びが何となく危なっかしくなっている。もしかすると軽い熱中症にかかっていたのかもしれなかった。まだまだこの先は長いのにと私は暗澹たる思いになった。
梅花皮小屋
ギルダ原付近のニッコウキスゲ
ニッコウキスゲとヨツバシオガマ(ギルダ原付近)