山 行 記 録

【平成13年7月1日(日)/飯豊連峰 滝口から丸石山(鍋越山敗退)】



河原角と九才峠との分岐にある標識
飯豊連峰の登山口である滝口には左に進む



【メンバー】単独
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】飯豊連峰
【山名と標高】丸石山871.9m
【天候】曇り時々雨
【温泉】飯豊町添川 「しらさぎ荘」300円
【行程と参考コースタイム】
登山口1000〜丸石山1135〜ダキ松手前1200-1220〜登山口1330

【概要】
エアリアのマップによると滝口から地蔵岳へのルートは破線で表示されている、いわゆる難路である。難路とはいえ、あまり歩かれていない程度だろうと思い、いつかは登りたいルートと考えていた。ところが、実際に登ってみると予想以上の薮に阻まれて、目的とした地蔵岳はおろか、鍋越山までも到達することができずに途中敗退をした。いくら登っても延々と続く薮漕ぎに登る気持ちをだんだんと殺がれてしまい、このコースは春の残雪期に歩くしかないのかも知れないな、と断念したのだった。特に記録を書くまでもない山行であるが、しかしこの打ちのめされたような経験を残しておくのも何かの役に立つかもしれない、と思い少し書いておきたい。

小国町叶水のT字路の交差点を右折し、河原角の集落までくると、道路沿いには多くの車が留めてあってちょっと驚いた。人の気配はあまりない。今日は飯豊連峰の山開きと聞いていたので、もしかしたら、なんて考えては見たものの、まさかこの滝口からそれはなないはずであった。単なる山菜取りの車かもしれなかったが、それにしても車が多いのでちょっと怪訝な感じを抱きながら河原角の集落を通り過ぎた。集落の終点からは林道にはいる。西滝、東滝を過ぎて、さらに7kmほど林道を進むと赤石沢の手前で行き止まりとなった。他には車もなく誰も登っている様子はなかった。

天候は風がかなり強いものの、昨夜から降り続いていた雨は小康状態となっていた。登山口への到着が遅かったために、地蔵岳は無理と判断し、手前の鍋越山まで登る予定で歩き始めた。

赤石沢にかかる鉄製の橋を渡り、まもなく砂防ダムの堰堤が正面に現れる。堰堤を越え、赤石沢沿いの道を進むとやがて薮道になった。背丈を越すような笹と茅の薮である。それでも何とか踏跡を探しながら進むと黒松沢に懸かる鉄製の橋にたどり着いた。対岸に渡り、しばらくブナ林の尾根道を登る。登山道には大雪によると思われる倒木が時折目立った。薮絡みでもこの夏道状態がなんとか続くようなら鍋越山までは登るのは十分可能だろうと急坂を登る。雨上がりのムッとした熱気のせいか、全身から汗が噴き出し、Tシャツはすっかりびしょぬれになった。

だんだんと周りの薮が濃くなってきていた。そんな中、風が強まり、ブナの枝が大きく揺れてきたと思ったら小雨が降り始めてきた。たいした雨ではなかったが、この薮の中では水滴だけで全身が濡れてしまうので、早めに雨具を着ることにした。薮漕ぎはそれからも続いた。それは視界も妨げられるほどで、ほとんど勘に頼りながら薮をかき分けて進んでいた。やがて急にはっきりとした尾根に出ると、左手の高みに雨量計が設置されている場所があった。そこは最近、切り開かれたような広場になっていて、観測器には赤石沢雨量観測所と書かれてある。横川ダム工事事務所で設置しているものだった。

この広場から正面に見える山並みは「横向き」から「山毛欅潰山」(ぶなつぶれやま)にかけての稜線と思われた。さらに薮をかき分けながら登るとひとつのピークに着いた。標高と登り続けた時間から判断してどうやら丸石山のようだ。地図上では三角点があるはずなのに、周りは鬱蒼とした潅木に覆われているのでとてもそんなピークとは思えない。身動きが取れないほど潅木が密集した薮になっているのだった。そこからは今まで以上の薮が続いていた。一向に視界は開けてこない。しかし薮の中から足元に見え隠れする踏跡は間違いなくかつての登山道ではあるようだ。

登るに従って、小雨とともに風はますます強まっていた。これでは飯豊の稜線はたいへんな強風だろうと思われた。低気圧がちょうど上空を通過しているようであった。それからもしばらくは目の前の草木をかき分けながら薮の中を進んだ。ほとんど人が入っている様子がなく、この人の進入を拒むような深い薮は鍋越山まで続いているのは間違いなさそうだった。だんだんと気持ちが萎えて行くのがわかった。登っていてもぜんぜん楽しくないのである。そして、少し見晴らしのよい地点に出たところでザックを下ろした。丸石山から30分ほど経っていた。標高はおよそ970m前後である。前方には一つのピークが見えた。現在の標高から判断すると「横向き」とよばれるピークのようである。ここまで薮漕ぎに耐えてきたのだがもう限界だった。引き返すことに全く未練はなくなっていた。

しばらく腰を下ろして前方の山並みを眺めていた。「横向き」から「山毛欅潰山」の稜線を追いながら、これからもこのルートにチャレンジするときがあるだろうか、と考えてみた。あるとしたらやはり残雪期しかないだろうとも思った。今回は登る時期を間違ったということだろう。強風は相変わらずで上空の雲の動きが速かった。ブナの木々は強風にあおられて大きくしなっている。雲の切れ間から時々青空が現れると、夏の容赦のない強い陽射しが降り注いだ。それでも雨は降り続いているので、いわゆるお天気雨のようだ。今日の天候は台風が過ぎ去ろうとしている状況に似ていた。この様子からすると明日は快晴に恵まれそうな気がしていた。



 横川ダム工事事務所で雨量計を設置している
赤石沢雨量観測所と書かれている。



薮に覆われた登山道
天候は雨と風で最悪の中、背丈以上の高さの薮漕ぎが延々と続き、
途中で登るのを断念した。